医療を住み慣れたご自宅で。在宅医療の魅力について植松先生に伺いました。

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2025年には75歳以上の高齢者が人口の1/4になると言われる、超高齢化社会に突入した日本。医療費の圧迫や、病床数不足な … 続きを読む 医療を住み慣れたご自宅で。在宅医療の魅力について植松先生に伺いました。

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2025年には75歳以上の高齢者が人口の1/4になると言われる、超高齢化社会に突入した日本。医療費の圧迫や、病床数不足など深刻な課題を抱えている中で新しく導入が進んでいる医療スタイルが在宅医療です。治療を住み慣れた自宅で、医師など医療チームが定期的に訪問しながら治療を勧めていくスタイルを在宅医療と言います。

 今回取材させて頂いたのは、そんな在宅医療一筋で、調布市・狛江市を中心に約100世帯を回っている熱血ドクター植松先生。消化器内科から総合医として在宅医療へ転向し、現在24時間365日体制で勤務されているとのこと。そんな激務な中、在宅医療提供者として高齢者の生活や今後の医療サービスについて伺いました。

在宅医療への転換、ハードな勤務の中1件1件に向き合うスタイルにやりがいを

-現在は在宅医療のみで病院を経営されていますが、在宅医療に変更した経緯は何だったのでしょう?

 元々消化器内科を担当して病院に勤めていましたが、外来で患者さんを診る場合は、どうしてもその患者さんの抱える病気だけに目が行ってしまいます。1人の患者さんに対して取れる時間も少なかったので仕方がないんですけどね。
 
 一方で在宅医療は、病気以外に患者さんのライフスタイルにも介入することができるんです。つまり病気だけでなくその人自身を総合的に評価し、どんな医療が本当に必要なのかを考えることができます。そうすることで、より責任感を感じることが出来るし、患者さんに向き合う時間も長くなるので、一歩踏み込んだケアに取り組むことができます。
時には、ご家族と一緒に患者さんの最後を看取ることも多くあります。在宅医療は今後の医療の主流になっていくと思いますし、とてもやりがいを感じています。

-1人の患者さんに対応する時間はどれくらい違うんですか?

 外来で応対していたときは1人5分くらいでしたね。それだと正直、お決まりの定型文で終わってしまうことが多いです。在宅医療では現在、初回訪問で1時間、あと病気に応じても増減しますが、だいたい1件につき15~20分ほど時間がとれています。

-これまでに在宅訪問した患者さんで思い出深いエピソードを1つ教えてください。

 まだお若いがんの患者さんで、病院で治療すれば良くなる状態だったのですが、むやみに薬などで治療せず、残りの時間を家族と自由に過ごしたいという方がいたんです。1年ちょっとくらいのお付き合いでしたが、希望する最後をご自宅で迎えることが出来ました。

 その患者さんは、在宅でも頑張りたいと仰っていた理由が、孫がもうすぐ生まれるから、ということだったんですね。なんとか、孫の顔が見られるまでは生きたい。実際にお孫さんが生まれてから1~2週間で亡くなってしまったのですが、同じベッドで生まれてきた赤ちゃんと一緒に写真を撮ることができたんです。こんな経験は病院ではなかなか出来ないので、すごく印象に残っていますね。

高機能なサプリメントよりも、ファッショナブルな紙おむつ

-訪問されている高齢者の方に、健康食品やサプリの需要はあるのでしょうか?

 基本的にご高齢になってくるとモノを食べないので、サプリメントや三大栄養素(タンパク質・炭水化物・脂質)は摂った方がいいですよね。訪問診療していて感じるのは、そうした栄養補助食品も大事だと思うんですけど、高齢者にこそ必要なものって、意外と既存の製品に進化が見られないんですよ。

-なるほど、具体的に高齢者の方から需要がありそうな商品はありますか?

 たとえば、紙おむつ。確かに機能性の面で言えば、吸水力があがったり、布地が薄くなったりといった面で進化はしている。でも、今のおばあちゃん達が困っていることって、デイサービスで紙おむつを周りに”知られたくない”ことなんです。例えば、花柄だったり(笑)ファッショナブルな紙おむつがあっても良いんじゃないかなと思っています。

 こうした、プライベートな生活面においても高齢者の方の生の声が聞けることも在宅医療に携わる医者ならではの目線なんじゃないかなと思います。ぜひ、こうした製品の監修のご依頼お待ちしています(笑)

在宅医療が抱える問題点と今後広げていきたいサービス

-在宅医療を受けるメリットは何だと思われますか?
 
 先ほど申し上げた通り、病気をカラダの状態だけで判断するのではなく、生活スタイルや環境といった面から踏み込んで診療できる事が1つ。また患者さんによって合う・合わないはあると思うのですが、やはりご自身が住み慣れた自宅で療養することで、ストレスが軽減されると感じる方も多いですね。存命されている期間が実際の予測より延びている方も多くいらっしゃいます。

-逆に、在宅医療がまだこれからだと感じている点はありますか?

 日本には15,000件ほど在宅医療に取り組んでいる医療機関があるそうですが、実際に看取りまで行うクリニックは半分と言われています。真夜中に緊急事態で呼び出しを受けることもありますが、そこで救急車を呼んでしまうところがあるそうで。これだと患者さんが何のために在宅を選択されたのか、その希望に適った行為が出来ているのかと疑問に感じてしまいますね。

 私は在宅医療に取り組んでいる身として、患者さんに救急車を呼ばれたら負けだと思っています。患者さんと私の間でしっかり信頼関係を築きあげられなかったなと。
最後、死亡診断書まで書かせてもらうことが在宅医療だと私は考えています。
 
-ありがとうございます。最後に、先生は在宅医療をどう展開していきたいと考えていますか?

 病院を増やしていきたいという意向は今の所はありません。在宅医療というサービス自体は海外では普及していますが、日本ではまだまだ未成熟。今から10年後には自分が作りあげた在宅医療のスタイルが地域に根付き、1人でも多くの患者さんに届くと良いなと考えています。

 今訪問に回っている地域は、在宅医療を提供している場所があまりありません。こうした地区に在宅医療の基盤をまずは築いていきたいですね。今後高齢者の数は増加していき医療費も自然と圧迫されると思うんです。私は在宅医療サービスを普及させていくことで貢献していきたいですね。

-植松先生、ありがとうございました。


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