
医師監修は薬機法違反になるのか?広告制作で押さえておきたいポイント
医師監修の製品や広告は、その専門性から消費者に高い信頼性と安心感を与えます。しかし、一方で薬機法に抵触する可能性があり、企業や広告制作者にとっては慎重な対応が求められるのです
薬機法は消費者保護の観点から、医療関係者の推薦や監修を利用した誤解を招く表現を厳しく規制しています。
本記事では、医師監修と薬機法の関係性、そしてコンテンツ制作で注意すべきポイントについて詳しく解説します。医師監修を受ける予定のある企業の方は、必ずチェックしておきましょう。
医師監修は薬機法上の問題になる?

医師が監修した商品やサービスは、その専門性から消費者に安心感を与えます。しかし、薬機法では医師や薬剤師などの医療関係者が商品を推薦する表現が厳しく制限されています。これは、消費者が誤った判断をしないようにするための措置です。
特に注目すべきは、薬機法(医薬品医療機器等法)第66条第2項です。
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
引用:https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145#Mp-Ch_10-At_66
ここで記載されている商品の広告を制作する際は、医師という専門家であっても監修を明示することは禁止です。また、共同開発と明記することも禁じられているため、表現に注意が必要です。自社で制作する商品が該当していないか、まずはチェックしましょう。
医薬品等適正広告基準とは
医薬品等適正広告基準は、医薬品や化粧品、医療機器などの広告表現を規制する基準です。医薬品等適正広告基準準の第10項「医薬関係者等の推せん」では、医師や薬剤師が商品を推薦する表現を禁止しています。これにより、消費者が専門家の意見に過度に影響されることを防いでいます。
参考:厚生労働省|医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について
医師の推薦や監修が薬機法に抵触するケース

ここでは、医師の推薦や監修により薬機法に抵触するケースをいくつかご紹介します。
化粧品広告での「医師の推薦」は薬機法違反
化粧品の広告で「医師が推薦」や「医師が効果を保証」といった表現は、薬機法に違反します。これは、医師の権威を利用して消費者を誤った方向に誘導する行為とみなされるためです。
たとえば、「皮膚科医が認めた」「専門医が推薦」といったフレーズは、一見すると商品への信頼感を高めるように思えます。しかし、これらの表現は消費者に対して効果や安全性を過度に強調し、誤解を招く可能性があります。
そのため、広告においては医師の推薦や保証を示唆する表現は避けるべきです。
健康食品広告での「医師の推薦」は違法?
健康食品においても、「医師が推薦」や「医師が開発した」といった表現は注意が必要です。これらの表現は、あたかも医薬品であるかのような誤認を消費者に与える可能性があります。
さらに、健康被害が発生した場合、企業の責任が問われるリスクもあります。消費者庁や厚生労働省は、健康食品の広告においても厳格なガイドラインを設けており、医師の推薦を利用した広告は規制の対象となります。
適切な表現を心がけ、法令遵守を徹底しましょう。
ドクターズコスメは薬機法違反?
「ドクターズコスメ」という用語自体は違法ではありません。しかし、その宣伝方法によっては薬機法に抵触する可能性があります。特に、医師の名前や顔写真を用いて効果を強調する表現は、医師の推薦を暗示し、消費者に誤解を与える恐れがあります。
また、「医師が開発したから効果が高い」といった表現も、薬機法上問題視される可能性があります。商品開発に医師が関与している場合でも、その事実をどのように伝えるかについては慎重な検討が必要です。
白衣を着た広告は薬機法違反?
白衣を着た人物が登場する広告は、医療関係者の推薦を暗示する可能性があり、薬機法に抵触する恐れがあります。たとえモデルや俳優であっても、消費者が医師や薬剤師と誤認する可能性があるため注意が必要です。
特に、白衣姿で商品を手に持ったり、説明したりするシーンは、専門家の保証を示唆するものとして問題視されることがあります。広告制作では、ビジュアル表現にも細心の注意を払い、法令に適合したデザインを心がけましょう。
医師の写真や名前を使用した広告のリスク

医師監修の際に、写真や名前を掲載することが多いですが、この場合においても薬機法上のリスクはあるのでしょうか。
消費者への誤認を与える可能性
医師の写真や名前を使用すると、消費者はその医師が商品を推薦している、または品質を保証していると誤解する恐れがあります。これは、医療関係者の権威を利用して消費者を誘導する行為とみなされ、薬機法違反となる可能性があります。
広告表現においては、消費者に誤認を与えないよう十分な配慮が求められます。
法的な対処方法とリスク回避
法的リスクを回避するためには、医師の写真や名前を広告に使用しないことが最善です。どうしても使用する必要がある場合は、専門家や弁護士などの意見を仰ぎながら、法令に適合した形での表現を検討する必要があります。
また、事前にリーガルチェックを行い、問題点をクリアにしておくことが重要です。
薬機法違反によるペナルティと企業への影響

もし、広告に医師監修などと記載してしまい、薬機法違反となるとどのようなペナルティや影響があるのでしょうか。
行政処分と罰則について
薬機法違反が認められた場合、厚生労働省や都道府県知事から行政処分を受ける可能性があります。具体的には、広告の差し止め命令や業務停止命令、罰金などが科されることがあります。これらの処分は、企業の経営に大きな影響を与えるため、必ず薬機法チェックを行った上で広告を制作・掲載しましょう。
ブランドイメージの低下と信頼損失
法令違反が公になれば、企業のブランドイメージは大きく損なわれます。消費者からの信頼を失い、売上減少や市場シェアの低下につながる可能性があります。一度失った信頼を回復するのは容易ではないため、日頃からの法令遵守とリスク管理が重要です。
医師監修を進める際に薬機法に抵触しないための方法とは?

ここでは、医師監修を進める際に薬機法に抵触しないための方法を解説します。
医薬品効果に触れず、使用感を表現する
商品やサービスの効果・効能を直接的に謳わず、使用感や満足度などを表現することで、薬機法違反を回避できます。たとえば、「しっとりとした使い心地」「フレッシュな香りでリフレッシュ」といった表現は、商品の特性を伝えつつ、法令に抵触しません。
ただし、過度な誇張や根拠のない表現は避ける必要があります。また、第三者の感想を引用する場合も、事実に基づいた内容であることを確認し、適切に表現することが求められます。
広告の三大要素に注意する
薬機法では、「誘引性」「特定性」「認知性」の三大要素が揃うと広告とみなされます。これらの要素を抑えることで、規制の対象外とすることが可能です。具体的には、商品の名称や写真を直接掲載しない、購入を促す表現を避ける、消費者が商品を特定できないようにするなどの工夫が考えられます。
これにより、コンテンツに医師監修を受けても薬機法違反にはならないでしょう。不安な場合は、専門家のアドバイスを受けながら、適切な広告表現を検討しましょう。
専門家への相談とリーガルチェックの徹底
広告制作においては、法務部門や弁護士など専門家への相談が不可欠です。最新の法令やガイドラインに基づいて、広告表現をチェックしてもらうことで、薬機法違反のリスクを大幅に減らすことができます。特に、新製品の発売時や法改正があった場合には、積極的に専門家の意見を取り入れることが重要です。また、薬機法チェックツールを活用することで、セルフチェックできます。
まとめ
医師監修や推薦を謳う広告は、消費者に高い信頼性を与える一方で、薬機法に抵触するリスクが伴います。広告制作においては、法規制を十分に理解し、適切な表現を用いることが不可欠です。
特に、医療関係者の権威を利用した表現や、消費者に誤解を与える可能性のあるビジュアルやフレーズは避けるべきです。法的トラブルを避け、消費者に正確な情報を提供するためにも、専門家への相談やリーガルチェックを積極的に行いましょう。適切な広告戦略を立てて、信頼性の高いブランドイメージを築くことが重要です。
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